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農林水産の知的財産Q&Aについて(その4)


 日本弁理士会では農林水産ビジネスへの知的財産活用を図ることを目的として、専用のウエブサイトを立ち上げています。
 今回も、前回に引き続き「農水知財の活用Q&A」のQ&Aの一例を挙げたいと思います。
 なお、農水知財の活用にご興味のある方は下記URLをご覧ください。
  https://www.jpaa.or.jp/nousui-ip/

Q: 国内の一地方で従業員を雇用してブドウ栽培をしている農家ですが、複数の肥料の配合及び、複数の消毒剤の配合や散布時期等の独自の栽培方法をこれまで研究し、使用しています。このため、他の農家のものより糖度の高いブドウを生産できますが、このような栽培方法を適切に保護できる手段はないでしょうか?

A: ブドウ等の農作物の栽培方法自体は、種苗法では保護されません。しかしながら多くの農家では栽培方法に関し独自のノウハウを実際にはそれぞれ持っていると思います。
 栽培方法は営業秘密として保護することも可能ですが、全ての栽培方法をノウハウとして秘匿するのではなく、場合によっては積極的に開示することを考えてください。

1.ノウハウとして秘匿する場合の注意点
 営業秘密は、民事や刑事の責任も問える不正競争防止法により法的に保護されています。そして、栽培方法などのノウハウは営業秘密に含められると考えられますが、実際に保護されるためには一定の要件が必要となります。以下にその要件を説明します。
 第1に、「秘密管理性」が要求されます。
 秘密管理性とは、栽培方法が秘密として管理されていることですが、具体的には、ブドウの栽培方法をノウハウとして秘密管理の意思が従業員に対して明確に示され、従業員がその意思を認識している必要があります。
 第2に、「有用性」が要求されます。
 有用性とは、ノウハウとされる栽培方法自体が有用な営業上又は技術上の情報であることですが、具体的には、これらの情報自体が客観的に農家の事業活動に利用され、また利用されることによって、経費の節約、経営効率の改善等に役立つものであることが必要です。
 第3に、「非公知性」が要求されます。
 非公知性とは、公然と知られていないことですが、具体的には保有者である農家の管理下以外ではその栽培方法を入手できないことをいいます。

2.秘密保持契約について
 例えば協力関係にある農協等の関係者に栽培方法を公開する場合には、事前に秘密保持契約を締結すべきです。ただし、契約を締結する際の契約書はいろいろなケースに応じて作成する必要がありますので、専門家に相談することを考えてください。

3.一部をノウハウとせずに公開することの検討について
 ノウハウとしてクローズ化するだけでなく、農場を視察等の目的で外部の者が入った場合に容易に理解されるような栽培方法の一部内容は、発明として特許出願することを考えても良いでしょう。特許権を取得することで、第三者に実施許諾して、ライセンス料を得ることも可能となります。



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