本文へスキップ

特許・実用新案・意匠・商標・著作物に関する権利等の代理業務なら飯塚国際特許事務所へ

英語 中国語

農林水産の知的財産Q&Aについて(その3)


 日本弁理士会では農林水産ビジネスへの知的財産活用を図ることを目的として、専用のウエブサイトを立ち上げています。
 今回も、前回に引き続き「農水知財の活用Q&A」のQ&Aの一例を挙げたいと思います。
 なお、農水知財の活用にご興味のある方は下記URLをご覧ください。
  https://www.jpaa.or.jp/nousui-ip/

Q: 草刈機の刃物を部品として製造し、草刈機メーカに納品している中小企業ですが、新規な刃物機構を自社開発しました。この刃物機構を他人にまねされないようにしたいのですが、知的財産による何らかの保護は可能でしょうか?

A: まず新規な刃物機構を発明と捉えれば、知的財産権の内の特許権による保護が可能です。また、農業分野おいては、国内外にかかわらず農地の雑草対策は重要とも思われます。この雑草対策として、除草剤の散布や草刈機による雑草の刈り取りが一般に行われているようですが、このような草刈機の基本的な構造に関しても、すでに何種類か存在していると考えられます。
 ただし、貴社が開発されました新規な刃物機構が一定の要件を満たしているのであれば、特許権による保護も可能ですので、以下に具体的に説明いたします。

(1)国内での特許権による保護
 「新規な刃物機構」は発明として捉えることができると思いますので、まず特許出願し、特許庁の審査により「新規性」、「進歩性」、「先願」等の要件を満たしていると判断されれば、特許権の取得が可能となります。その際に貴社とお取引のある「草刈機メーカ」に対しても少なくとも特許出願までは、技術内容を秘密にしておいてください。
 もしその草刈機メーカに刃物機構の具体的な内容を開示した場合、共同出願を依頼される可能性があり、貴社の特許権による独占的な保護の利益が得られなくなるおそれがあります。

(2)海外での特許権による保護
 国内だけでなく海外においても、雑草対策は頭の痛い問題と思われます。貴社として刃物機構の輸出やライセンス等により海外でも特許権による利益が得たい場合には、外国出願する必要があります。
 ただし、外国出願する場合にはその国の言語より必要書類を提出することが原則となっていますので、翻訳の必要があります。また、パリ条約の優先権制度というものが有り、国内の特許出願から1年以内に外国出願することにより、国内の特許出願時を基準として「新規性」等の判断がされ、特許権取得の際に有利となります。

(3)保護のための費用
 国内の特許出願について
 特許出願から特許権取得までの間において、特許庁料金の他、代理人手数料が必要になりますが、中小企業の場合には特許庁料金の減免制度があります。また、自治体によっては、代理人手数料を含めた補助金が給付されることもあります。
 外国出願について
 翻訳費用、現地特許庁費用、現地代理人費用等も必要になりますが、各都道府県やジェトロによる外国出願補助金が給付されることがあります。

 以上が概略ですが、詳細は知的財産の専門家である弁理士にご相談ください。


バナースペース

東京オフィス

TEL 03-6869-9092
FAX 03-6869-9129

〒101-0047
東京都千代田区内神田

埼玉オフィス

TEL 048-854-1300
FAX 048-854-1321

〒338-0002
埼玉県さいたま市中央区下落合5-10-5