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農林水産の知的財産Q&Aについて(その2)


 日本弁理士会では農林水産ビジネスへの知的財産活用を図ることを目的として、専用のウエブサイトを立ち上げています。
 今回も、前回に引き続き「農水知財の活用Q&A」のQ&Aの一例を挙げたいと思います。
 なお、農水知財の活用にご興味のある方は下記URLをご覧ください。
  https://www.jpaa.or.jp/nousui-ip/

Q: 国内の一地方で新たな品種の農作物を栽培し品種登録の手続きを検討している他、農協と地理的表示について協議している者ですが、この農作物の海外への輸出を考えています。輸出する際において、知財による保護は可能でしょうか?

A: 農作物の保護と言えばすぐに品種登録による育成者権や地理的表示が思いつきますが、これらについて海外での保護が可能か否か及び、その他の保護手段による海外での保護が可能かを以下に説明します。

(1)育成者権による海外での保護
 国内で品種登録することにより日本国内にて育成者権が発生しますが、海外での品種保護に際しては、植物の新品種の保護に関する国際条約であって、品種の開発と流通を促進することが目的のUPOV条約が存在しています。国内での品種登録とは別に、このUPOV条約により海外で品種登録されれば、その品種が外国で保護されることになります。
 但し、全ての国がこのUPOV条約に加盟しているわけではないので、詳しくは弁理士にご相談ください。

(2)地理的表示による海外での保護
 地理的表示とは、農林水産物・食品等の名称で、その名称から当該産品の産地を特定でき、産品の品質等の確立した特性が当該産地と結び付いていることを特定できる名称の表示をいい、「GIマーク」というものを地理的表示と併せて表示することで、その農林水産物等が保護されます。
 そして、海外でも、国家間の国際約束によって日本の地理的表示の保護が可能です。例えば欧州連合(EU)や英国との間では、地理的表示の日本との相互保護を現在行っております。
 但し、全ての国で保護されているわけではないので、育成者権による海外での保護と同様に、詳しくは弁理士にご相談ください。

(3)その他の保護手段による海外での保護
 新しい技術を用いた農作物であれば特許権取得による保護を受けられる可能性があります。特許による海外での保護のためには各国毎に早期に特許出願し、特許権を取得しなければなりませんが、特許協力条約による国際出願を日本の特許庁に行えば、時間的余裕が得られつつ、特許権取得が可能となります。
 他方、農作物を海外にてブランド化を図り、より高収益が得られるようにするためには、商標登録による保護が考えられます。商標権を海外にて取得するためには、各国毎に商標登録出願をしなければなりませんが、商標の分野においても、マドリッド協定議定書による国際登録を日本の特許庁に行えば、各国での商標登録が容易となります。
 いずれにおいても全ての国がこれらの条約や議定書に加盟しているわけではないので、詳しくは弁理士にご相談ください。


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