AIと著作権の関係等について(その2)
前回に引き続きAIと著作権の関係について以下に説明いたします。
今回は現状の整理として、まず「AI開発・学習段階」の意味合いを説明します。具体的には、「著作物を学習用データとして収集・複製し、学習用データセットを作成」や「データセットを学習に利用して、AI(学習済みモデル)を開発」する等をいうと考えられています。
これに対して、日本国の著作権法では、平成30年著作権法改正により新たに規定された著作権法第30条の4が存在しています。
この著作権法の規定では、AI開発のような情報解析等の著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権者の許諾なく利用することが可能とされています。
例えば、3DCG映像作成のため風景写真から必要な情報を抽出する場合であって、元の風景写真の「表現上の本質的な特徴」を感じ取れるような映像の作成を目的として行う場合は、元の風景写真を享受することも目的に含まれていると考えられることから、このような情報抽出のために著作物を利用する行為は、本条の対象とならないと考えられています。
また、「必要と認められる限度」を超える場合や「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は、この規定の対象とはならないとされています。
例えば、情報解析用に販売されているデータベースの著作物をAI学習目的で複製する場合などです。
以上より、一定の制限下、我国ではAI開発や学習は可能とされています。
(内閣府発行文書引用)