商標の類否判断方法(その3)
外観、称呼、観念が類否判断の基本であることを「商標の類否判断方法(その1)」で説明しましたが、次に、「商標の称呼の類否」について説明します。
「商標の称呼の類否」は、比較される両称呼の音質、音量及び音調並びに音節に関する判断要素のそれぞれにおいて共通し、近似するところがあるか否かを比較するとともに、両商標が称呼され、聴覚されるときに需要者に与える称呼の全体的印象が、互いに紛らわしいか否かを考察するとされています。
以下に「商標の称呼の類否」の具体例を示します。
(ア) 音質(母音、子音の質的きまりから生じる音の性質)に関する判断要素
相違する音の母音を共通にしているか、母音が近似しているか
(例) ともに同音数の称呼からなり、相違する1音が母音を共通にする場合
「ダイラマックス」 「ダイナマックス」
「セレニティ」 「セレリティ」
(イ) 音量(音の長短)に関する判断要素
相違する1音が長音の有無、促音の有無又は長音と促音、長音と弱音の差にすぎないか
(例) 相違する音が長音の有無にすぎない場合
「モガレーマン」 「モガレマン」
(例) 相違する音が促音の有無にすぎない場合
「コレクシット」 「コレクシト」
(例) 相違する音が長音と促音の差にすぎない場合
「コロネート」 「コロネット」
「アドポーク」 「アドポック」
(注) 以上の例示は、称呼が類似する例であり、商標全体として類否を判断したものではないとされています。
特許庁HP「第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)」より