前回は弁理士が行う鑑定について説明しましたが、これとは別に、特許庁が行う「判定」の制度もあります。判定は特許庁が中立・公平な立場から、特許発明の技術的範囲等について見解を示すものです。行政サービスの一種であるため、判定の結果に法的拘束力はなく、この点は鑑定と同様です。
とはいえ、特許庁の公的な見解であることから、事実上、社会的に十分尊重され、裁判所も有力な判断資料として利用するものと期待されています。具体的な利用例としては、たとえば以下のものが挙げられます。
・警告状や侵害訴訟における根拠資料
・判定結果に従うとの当事者間の契約
・(商品に特許番号を表示する際など)自己の商品が自己の取得した特許権の技術的な範囲に入っていることの確認
・警察への告訴の根拠資料
判定請求件数の推移(「特許庁ステータスレポート2019」より)